2011年09月26日

兵卒失格 ~僕が自衛隊を辞めた理由~ (08/15)

ジレンマ   - The soldier who cannot fight -

みんなどこかで、あきらめている。
もう60年、戦争をしていない。
これからもずっと、ぼくらが死ぬまで、無いかもしれない。

もちろん、戦争なんて無いほうがいい。
だからそこに、ジレンマが生まれる。

戦闘員である以上、たとえそこに死の可能性があったとしても、
日頃の訓練の成果を遺憾無く発揮し、
危険な実任務に果敢に挑み、それを完遂したい。
そういう欲望を抱いて当然だと思う。
でも、そういう職業柄当たり前の欲望を抱くことそのものが、
社会的には不謹慎とみなされ、許されない。

営業マンが、商品を売りたいと思うことが許されない会社なんて、
聞いたことがない。

ジレンマから開放されたい。板ばさみはもう限界です。
訓練に励んで、いきどおりを自らにぶつけ、ごまかす。忘れようとする。
実戦を伴わない訓練は自己満足だとわかってはいるけど、
人間、都合の悪いことからは目をそらす。
見ないようにしている。気付かないふりをしている。

でもみんなどこかで気付いている。当分戦争なんて無い。
その鍛え抜かれた肉体は、その磨き上げられた技術は、
おそらく生涯日の目を見ないまま、ただ朽ち果てていくだけの運命にある。





Posted by Eiki Hata at 17:49