2011年10月07日

兵卒失格 ~僕が自衛隊を辞めた理由~ (13/15)

柵の中の世界   - I’m bored with it all. -

労働の対価としてカネを稼ぐのではなく、
カネそのものを右から左に転がしてカネを稼ぐ人たち。

おカネは「架空のヒットポイント」に過ぎないということに気付かずに、
そのポイントの増減に本気で一喜一憂する人たち。

「架空のヒットポイント」がゼロやマイナスになったことを理由に、
自ら命を絶ってしまう人たち。

そんな人たちがウヨウヨいるシャバに嫌気が差して、自衛隊に入った。
架空のヒットポイントなんかじゃない、リアルなイノチの駆け引きが、
あそこにはあるはずだと思っていた。

違った。

厳格に見えた柵の中には、
外よりも、危機意識も競争意識も薄くて、
平和で閉鎖的で共産的で保守的で、
理不尽で風通しが悪くて向上心が無くて、
ナンセンスで制限や無駄が多くて、
でも、長くいればいるほど居心地が良くなる、
公務員の桃源郷が広がっていた。

なにに負けたのか、いまいち良く分からないけど、
僕は確実に、なにかを知って心が折れ、なにかに負けた。

柵の中には、シャバとは違う形態の社会があった。

今のシャバの社会形態は最悪だけど、
これまでに試みられてきた、他のあらゆる社会形態に比べれば、
まだマシだということを、
自衛隊で体感させられるとは、夢にも思わなかった。





Posted by Eiki Hata at 05:53